柿沼 唯

プロフィール

1961年神奈川県生まれ。東京芸術大学で、作曲を松村禎三氏に師事。また、尺八、能楽、雅楽などの日本の伝統音楽やガムラン、インド音楽などに興味を持ち、それらの基本的な演奏法を学ぶ。
1986年同大学卒。卒業作品「交響的瞑想曲」が、日本交響楽振興財団第9回作曲賞に入選。88年、オーボエとハープ、2つのチェロのための「セレナード」が第3回「今日の音楽」作曲賞第2位に入賞し、注目される。
この頃から、武満徹氏のアシスタントを務めるようになり、約8年間にわたり氏の薫陶を受ける。
90年、オーケストラのための「アリオーソ」がレナート・スラトキン指揮セントルイス交響楽団により初演され、91年に第1回出光音楽賞を受賞。
東京フィルハーモニー交響楽団の委嘱による「エントランス」(92年)、高橋アキの委嘱による「ペオニア」(89年、全音楽譜刊)、スロヴァキア室内合奏団により初演された「ガラス玉遊戯」(95年)などのほか、97年にインドネシア・ジョグジャカルタで初演された「ヴァイオリン、ピアノ、クンダンのための音楽」、99年にイギリス室内管弦楽団の委嘱によりロンドンで初演された「尺八、ヴァイオリンと弦楽合奏のための<桜に寄す>」など、民族楽器や邦楽器を取り入れた作品も発表している。
2001年にはイギリスにおける日本年(Japan2001)で、また2002年にはチェルトナム・フェスティバル(イギリス)で作品が紹介され、好評を博した。
2004年には、能「道成寺」を題材にしたオーケストラ作品「伝説-道成寺による音詩」がプラハ交響楽団定期演奏会(スメタナ・ホール)で初演され、好評を得た。
2005年から折に触れて手がけているオルガン作品は、日本とヨーロッパでたびたび再演され、2010年にはフランスのサン=ベルトラン・ド・コマンジュで開催されたオルガン作曲コンクールで、「巡礼の笛 」がMarcelle et Robert de Lacour財団賞を獲得した。
2008年には、尺八、ヴァイオリン、チェロのための「深き森より」が、相曽賢一朗ヴァイオリン・リサイタル(10月3日、東京文化会館小ホール)で初演された(尺八:中村明一、チェロ:安田謙一郎)。
ハイドン没後200年記念の作品委嘱プロジェクト“Dedicated to Haydn”のために世界から招かれる18人の作曲家の一人に選ばれ、2009年4月~5月にアイゼンシュタット(オーストリア)で開催された「ハイドン・フェスティヴァル2009」で、委嘱作品「花月 -ハイドンの名によるエチュード」がハイドン・トリオ・アイゼンシュタットにより初演された。さらに同年11月~12月のオーストリア・ハンガリー・ハイドン・フィルハーモニー(アダム・フィッシャー指揮)の日本公演では委嘱作品「ハイドンの庭」が各地で初演され、好評を博した。2021年10月には、能とパイプオルガンと合唱のためのオペラ「天鼓」が岐阜で初演された。2021年12月には「オルガン花鳥風月 —柿沼唯の世界—」が新宿文化センターにおいて開催された。